コンクリートの施工の問題は、ほとんどが 「材料分離を起こさないか」「一体化するか」「水分と温度を保てるか」 の3つの視点で解けます。 細かい数値を覚える前に、この3つの視点を持っておくと、初めて見る選択肢でも正誤を判断できます。
施工の流れと、それぞれの目的
| 工程 | 目的 |
|---|---|
| 運搬 | 品質を変えずに(分離させず、固まり始める前に)現場へ届ける |
| 打込み | 型枠の中に、分離させずに隅々まで充塡する |
| 締固め | 空気を追い出して密実にし、鉄筋や型枠のすみまで行き渡らせる |
| 打継ぎ | 先に打ったコンクリートと一体化させる |
| 養生 | 硬化に必要な水分と温度を保ち、衝撃や荷重から守る |
運搬 — 早く、分離させずに
- 練り混ぜてから打ち終わるまでの時間は、できるだけ短くする。暑いほど固まり始めるのが早い
- 運搬中に材料分離が起きたら、練り直してから使う
- 固まり始めたコンクリートに水を加えて練り直してはならない。水セメント比が変わり、強度が落ちる
最後の点は定番のひっかけです。「軟らかくするために水を加える」は、どんな状況でも誤りと覚えてください。
打込み — 分離を防ぐ4つの原則
- 目的の位置の近くに下ろす。型枠の中で横に長く流すと、粗骨材とモルタルが分かれる
- 棒状バイブレータで横移動させない。バイブレータは締固めの道具で、運ぶ道具ではない
- 高い位置から落とさない。吐出口と打込み面の距離が大きいと、落下の衝撃で分離する
- ほぼ水平な層になるように打ち込む。一か所に山盛りにしない
打込みの前には、型枠の中のごみや水を取り除き、型枠や旧コンクリートで吸水するおそれのある部分は湿らせておきます。 乾いた型枠がコンクリートの水を吸うと、表面の品質が落ちるからです。
打込み中に表面へブリーディング水が浮いてきたら、取り除いてから次の層を打ちます。
締固め — 棒状バイブレータの使い方
| やり方 | 理由 |
|---|---|
| 鉛直に、一様な間隔で差し込む | 締固めにむらを作らないため |
| 2層以上に分けて打つときは、下層にも少し差し込む | 上下の層を一体化させるため |
| ゆっくり引き抜く | 引き抜いた跡に穴を残さないため |
| かけすぎない | 過度な振動は、かえって材料分離を招く |
薄い壁などバイブレータを差し込めない部位では、型枠振動機を併用します。
打重ね — 下層が固まる前に
2層以上に分けて打ち込むときは、下層が固まり始める前に上層を打ち重ねるのが原則です。 間が空きすぎると、上下が一体にならない「コールドジョイント」ができます。 この許容時間は、気温が高いほど短くなります。
打継目 — 一体化させる処理
やむを得ず打継ぐときは、打継目の位置と処理が問われます。
- 位置は、せん断力の小さい位置を選び、打継面は部材の圧縮力の作用方向と直角にするのが原則
- 水平打継目:旧コンクリート表面のレイタンス(表面に浮き出た弱い層)や緩んだ骨材を取り除き、表面を粗にしてから、十分に吸水させて新しいコンクリートを打つ
- 鉛直打継目:旧コンクリートの表面をワイヤブラシで削るなどして粗にし、十分に吸水させ、セメントペーストやモルタルなどを塗ってから打つ
「弱い層を取って、粗くして、湿らせる」が打継目処理の共通の型です。
養生 — 水分と温度を保つ
養生の目的は3つです。
- 湿潤状態を保つ(セメントの水和には水が必要)
- 適切な温度を保つ(低すぎると硬化が遅れ、凍結すると損傷する)
- 有害な振動・衝撃・荷重から守る
湿潤養生の期間の大小関係
湿潤養生を続ける期間は、次の向きで長く・短くなります。
| 条件 | 期間 |
|---|---|
| 早強ポルトランドセメント | 短い |
| 普通ポルトランドセメント | 中間 |
| 混合セメント(高炉セメントB種など) | 長い |
| 日平均気温が低いほど | 長い |
早強セメントは強度の出方が早いので短く、混合セメントは強度の出方がゆっくりなので長く取ります。 具体的な日数は資料の表で示されていますが、試験ではまずこの順序を確実に押さえてください。
暑中と寒中
- 暑中コンクリート:打込み温度が高くならないようにし、打込み後は急激な乾燥を防ぐ
- 寒中コンクリート:打込み後の初期に凍結させないことが最優先。保温・給熱で温度を保つ
覚え方のコツ
- 迷ったら「分離しないか・一体になるか・水と温度を保てるか」の3つで選択肢を判定する
- 打込みは「近くに・低く・水平に・横に流さず」
- 水を足すのは「養生で表面を湿らせる」ときだけ。練り直しに水を足すのは常に誤り
- 養生期間は「早強は早く終わる、混合はじっくり、寒いときは長め」
コンクリートは第二次検定の記述でも問われます。 各工程の「目的」を一言で言えるようにしておくと、選択肢の言い回しが変わっても対応できます。