盛土の問題は、数値よりも 「なぜそうするのか」 を問う形がほとんどです。 盛土が崩れたり沈んだりする原因を知っていれば、正しい施工手順は自然に選べます。 この記事では、施工の流れに沿って押さえどころを整理します。

盛土の目的と、失敗するとどうなるか

盛土に求められるのは、完成後に沈下せず、崩れず、雨に強いことです。 締固めが足りないと、次のような不具合が起こります。

  • 完成後に圧縮沈下して路面が波打つ
  • 土の中に水が入りやすくなり、強度が下がってすべる
  • 雨水で表面が浸食される

締固めとは、土の中の空気を追い出して土粒子を密に詰める作業です。 密になるほど、せん断強さが増し、圧縮性と透水性は小さくなります。

盛土材料に求められる性質

求められる性質 理由
せん断強さが大きい 盛土自体がすべり崩れないため
圧縮性が小さい 完成後の沈下を小さくするため
施工機械が走行できる(トラフィカビリティ) 敷均し・締固めを確実に行うため
締固めが容易 所定の密度を得やすくするため
吸水による膨潤性が小さい 雨や地下水で強度が落ちないため

粒度の良い(大小の粒がほどよく混ざった)土は締め固めやすく、盛土材料として適しています。 逆に、有機物を多く含む土や、含水比が高すぎる粘性土は、そのままでは使いにくい材料です。

基礎地盤の処理

盛土をのせる前の地盤処理は、出題の定番です。

  • 草木・切株・腐植土を取り除く。残すと腐って空洞や沈下の原因になる
  • 傾斜地盤では段切りを行う。地盤と盛土のなじみを良くし、境界面でのすべりを防ぐ
  • 地盤の表面に水がたまる場合は、排水の処理をしてから盛土する
  • 軟弱な地盤では、盛土の前に沈下や安定の対策を検討する

敷均し — 薄く、均一に

盛土は一度に厚く積まず、薄い層に分けて敷き均し、1層ずつ締め固めるのが原則です。

  • 1層が厚すぎると、締固めのエネルギーが下まで届かず、下部が締まらない
  • 厚さがばらつくと、締固めにむらが出る

1層の厚さ(まき出し厚)は、盛土の部位や使う機械によって示されている値が異なります。 試験では「厚く一度に」ではなく「薄く均一に」が正しい、という向きを押さえておけば十分です。

また、施工中は盛土の表面に排水のための勾配をつけ、雨水がたまらないようにします。

締固め曲線と最適含水比

同じ土を同じ方法で締め固めても、含水比によって締まり方が変わります。 含水比を横軸、乾燥密度を縦軸にとると、山形の曲線(締固め曲線)になります。

  • 山の頂点の乾燥密度が 最大乾燥密度
  • そのときの含水比が 最適含水比

乾きすぎた土は粒子どうしがなじまず、湿りすぎた土は水が間に入って締まりません。 最適含水比の付近で締め固めると、最も密になります。 材料の含水比が高すぎるときは、ばっ気(天日で乾かす)や土質改良で調整します。

土質に応じた締固め機械

土質 向いている機械 考え方
砂・砂利などの粒度の良い土 振動ローラ 振動で粒子を動かして詰める
粘性土 タンピングローラ 突起で土を練り返しながら締める
含水比の高い粘性土・軟弱地盤 湿地ブルドーザなど接地圧の小さい機械 機械が沈まずに走行できる
路盤・仕上げ面 ロードローラ(マカダム・タンデム)タイヤローラ 表面を平らに仕上げる

砂は振動、粘土は突起、柔らかい土は接地圧を小さく」と覚えると整理しやすくなります。

締固めの管理 — 2つの方式

方式 何を決めるか 向いている場面
品質規定方式 締め固めた結果の品質(乾燥密度・飽和度・空気間隙率・強度など)を規定し、方法は施工者に任せる 土質が安定していて、密度などを測定しやすいとき
工法規定方式 使う機械の種類・締固め回数・まき出し厚などの方法を規定する 岩塊など、密度を測りにくい材料のとき

品質規定方式の中でも、乾燥密度で管理するのが基本です。 含水比が高い粘性土のように乾燥密度で管理しにくい土では、飽和度や空気間隙率で管理する方法が使われます。

近年は、TS(トータルステーション)や GNSS でローラの走行軌跡を記録し、 締固め回数を面的に管理する方法が広がっています。これは工法規定方式の考え方です。

覚え方のコツ

  • 盛土の敵は「水と空気」。締固めで空気を抜き、勾配と排水で水を入れない
  • 地盤処理は「抜く(草木)・切る(段切り)・流す(排水)」の3点セット
  • 管理方式は「結果で縛るのが品質規定、やり方で縛るのが工法規定
  • 数値が出てきたら、それが「厚く」「多く」の向きかを見る。盛土の正解はたいてい「薄く・均一に・最適含水比付近で」

盛土は第二次検定の記述でも問われる題材です。 手順ごとに「なぜそうするか」を一言で言えるようにしておくと、両方の検定で役に立ちます。