建設業法の技術者制度は、近年の改正で金額と用語がいくつも変わった分野です。 古い問題集の数値のまま覚えていると、そのまま失点します。 この記事の金額と用語は、すべて2026年4月1日時点の建設業法・建設業法施行令の条文で確かめたものです。
現場の技術者と営業所の技術者
建設業法には、現場に置く技術者と、営業所に置く技術者の2系統があります。
| 置く場所 | 名称 | 根拠 |
|---|---|---|
| 工事現場 | 主任技術者 | 法26条1項 |
| 工事現場 | 監理技術者 | 法26条2項 |
| 営業所(一般建設業) | 営業所技術者 | 法7条2号 |
| 営業所(特定建設業) | 特定営業所技術者 | 法15条2号 |
営業所の技術者は、以前は「専任技術者」と呼ばれていました。 現在の条文では営業所技術者・特定営業所技術者という名称です。
主任技術者と監理技術者
| 主任技術者 | 監理技術者 | |
|---|---|---|
| 置く者 | すべての建設業者(元請・下請、工事の金額を問わない) | 発注者から直接請け負った特定建設業者 |
| 置く場面 | 請け負った建設工事を施工するとき | その工事の下請契約の請負代金の総額が一定額以上のとき |
| 職務 | 施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、施工に従事する者の技術上の指導監督(法26条の4) | 同じ |
監理技術者が必要になる下請代金の総額は次のとおりです(法26条2項・法3条1項2号・施行令2条)。
| 工事 | 下請代金の総額 |
|---|---|
| 建築一式工事以外(土木一式工事など) | 5,000万円以上 |
| 建築一式工事 | 8,000万円以上 |
ポイントは、元請が自分で施工する金額ではなく、下請に出す金額の合計で決まることです。 また、監理技術者を置くのは元請の特定建設業者で、下請の業者は主任技術者を置きます。
専任が必要な工事
公共性のある施設や多数の者が利用する施設に関する重要な工事では、主任技術者・監理技術者を工事現場ごとに専任で置かなければなりません(法26条3項)。
| 工事 | 請負代金の額(工事1件) |
|---|---|
| 建築一式工事以外 | 4,500万円以上 |
| 建築一式工事 | 9,000万円以上 |
(施行令27条。国・地方公共団体が注文者の工事のほか、学校・病院・事務所・共同住宅など幅広い施設が対象)
専任の監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、登録を受けた講習を受講した者から選ばなければならず、発注者から請求があれば資格者証を提示しなければなりません(法26条5項・6項)。
専任の例外 — 兼任できる場合
専任が必要な工事でも、次のどちらかに当たれば、技術者が複数の現場を兼ねられます(法26条3項ただし書)。
| 例外 | 主な要件 | 兼ねられる現場の数 |
|---|---|---|
| 1号(兼任の特例) | 請負代金の額が 1億円未満(建築一式工事は 2億円未満)、現場間の移動時間などの要件に適合、情報通信技術で現場を確認する措置 | 2まで |
| 2号(監理技術者補佐) | 監理技術者の職務を補佐する者(政令で定める要件を満たす者)を各現場に専任で置く | 2まで |
(金額は施行令28条、現場の数は施行令30条)
さらに、営業所技術者・特定営業所技術者が、現場の主任技術者・監理技術者を兼ねる特例もあります(法26条の5)。 要件は、その営業所で契約した工事で、請負代金が 1億円未満(建築一式工事は 2億円未満)であることなどで、兼ねられる現場は 1です(施行令33条・34条)。
特定専門工事の特例
鉄筋工事や型枠工事など、施工技術が画一的な特定専門工事では、下請代金が 4,500万円未満なら、 元請の主任技術者が下請の主任技術者の職務もあわせて行えます(法26条の3・施行令31条)。
- 元請と下請の書面による合意と、注文者の書面による承諾が必要
- 元請の主任技術者は、1年以上の指導監督的な実務経験があり、専任であること
- この特例を使った下請負人は、再下請が禁止される
施工体制台帳と施工体系図
| 工事 | 施工体制台帳の作成が必要になる場合 | 根拠 |
|---|---|---|
| 民間工事 | 元請の特定建設業者が結んだ下請代金の総額が 5,000万円以上(建築一式は 8,000万円以上) | 法24条の8・施行令7条の4 |
| 公共工事 | 下請契約を結んだときは金額にかかわらず | 入札契約適正化法15条 |
施工体制台帳は工事現場ごとに備え置き、施工体系図は現場の見やすい場所に掲げます。 公共工事では、施工体系図を工事関係者と公衆の両方が見やすい場所に掲げます。
許可と技術検定の基本
- 軽微な建設工事(請負代金 500万円未満、建築一式工事は 1,500万円未満または延べ面積150m²未満の木造住宅)のみなら、許可は不要(法3条・施行令1条の2)
- 許可は 5年ごとに更新(法3条3項)
- 技術検定は第一次検定と第二次検定に分かれ、第一次検定の合格者は「技士補」、第二次検定の合格者は「技士」を称することができる(法27条・施行令40条)
覚え方のコツ
- 金額は「下請5,000万で監理、1件4,500万で専任」。建築一式はそれぞれ 8,000万・9,000万
- 兼任の特例は「1億(建築2億)未満、2現場まで」。営業所技術者の兼務は「1現場だけ」
- 「主任技術者は全員、監理技術者は元請の特定建設業者だけ」
- 公共工事の施工体制台帳は「下請を出したら必ず」
金額の数字は、問題集によっては改正前の値が残っていることがあります。 迷ったら、この記事の表のように条文の番号とセットで確かめる習慣をつけておきましょう。